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港の島々の風土を満載した水路の玄関口:
旗津フェリー乗り場「大港校直販所」期間限定オープン

2025 / 07 / 04
「大港校直販所」の飲食スペース。(画像提供/大港校直販所)

砂洲の渡し場における、現代的な変化

交通拠点から文化の窓口へ──旗津フェリーターミナルの現代的な転換は、「鼓往津來―鼓山・旗津フェリー事業地域創生プロジェクト」によって具体的な成果として結実しました。小本チームがこれまで培ってきた古家再生の理念と経験を引き継ぎ、私たちはこのフェリーターミナルの実用的な機能の奥に、文化を運ぶ器としての可能性を見出しました。

本計画ではまず、1階の既存オフィススペースと第2待合室の整備から着手しました。前期は「小本設計」が内装デザインを手がけ、その後を引き継いで「小本愛玉」がテナント誘致を担当。こうして第一陣となる地域創生パートナーが集まり、海港の玄関口であるこの場所に人の流れとアート・カルチャーの息吹を呼び込みました。この動きは、今後の持続可能な転換への大切な助走となっています。この共存・共栄の精神は、現在「雄本老屋」が引き継ぎ、旗津の地域に根ざして活動しているブランド「大港校」を招き入れました。地元の風土を、セレクトショップ、飲食、そして文化体験として形にし、「大港校直販所」という形で旅人の皆さまにお届けします。

「大港校直販所」の運営の核となっているのは、社会的創造拠点である「旗津技工舎」の再生エネルギーをつなぐことにあります。そこに集う職人やアトリエで活動するクリエイターたちに、作品を展示・販売するためのプラットフォームを提供し、「前店後工房」店があり、その奥にものづくりの現場があるという理想的な構造を実現しています。地域とのつながりを深めることで、フェリー乗り場は旅人が急ぎ足で通り過ぎる通路というだけでなく、地域の創作を読み解き、記憶が停泊する文化拠点となりました。

旗津フェリー乗り場の現在の姿。(画像提供/大港校直販所)

港の島々からの風土の贈り物

大港校直販所では、地元限定の良品、港の島々の風味豊かな飲食、旅行案内サービスを提供し、不定期に講座を開催しています。また、「大港セレクト」、「海島料理」、「船旗技研」の3つの主軸から港の島々の文化を小規模な展示という形で紹介しています。

大港セレクト|港の島々の職人の温もりをセレクト

旗津地域の職人による作品を厳選し、港町のイメージを手に取れる形に昇華させました。地元アーティスト「陳年罔市」は、港や島の日常風景をポストカードやステッカーに描き出し、「山津塢」チームは、伝統的な手捺染の技法を用いて、豊漁を象徴する「大漁満儎」の文様をトートバッグに刷り込みました。港からの祝福は、こうして日常に寄り添う小物となって旅人のもとへ届きます。

生活から着想を得た創造性もここで表現されています。例えば「織織人工作室」は漁師の生業道具から着想を得て、精巧な漁網バッグや小魚バッグを編み上げています。「老物診聊室」は古窓を磨いてシンプルなカードスタンドに仕上げ、創意工夫で古い木材に新しい命を吹き込んでいます。店内では「莫里斯」が旗津の地元の種子で作ったストラップや、「旗津追蜂」と「時地設計」のコラボレーションによる蜜蝋木材保護オイル、さらには「時選製物」が丹念に企画した職人の手作り体験パックや港周辺の恋愛運アップの福袋なども見つけることができます。

写真1/山津塢「大漁満載」トートバッグ。(画像提供/大港校直販所)
写真2/織織人工作室の文化クリエイティブ産業品。(画像提供/大港校直販所)
写真3/旗津追蜂と時地設計の共同デザインによる蜂蝋木材保護オイル。(画像提供/大港校直販所)
写真4/時選製物「港辺の小さな波紋」グラス。(画像提供/大港校直販所)

大港校直販所の期間限定オープン。(画像提供/大港校直販所)

海島の食|旗津の地元の味を堪能する

大港校直販所では季節の飲み物と特色あるスナックを提供し、旗津の風土を甘く広がる美味しい香りに変えています。メニューの一つ一つの名前には、次のように港の記憶が深く刻まれています。「旺來満儎スパークリングドリンク」は、パイナップルを意味する台湾語「旺來」と、航海の豊かな旅を象徴する「満儎」のイメージを重ね、爽やかな炭酸の泡で漁師たちへの祝福を表現しています。地元産の茶葉、自家製ジャム、そして旗津の蜂蜜で淹れた「蘋安出航紅玉紅茶」は、「平安」を願う祈りを込め、やさしい味わいの茶湯となって旅の始まりと終わりを包み込みます。さらに「大港CC特調コーヒー」は、レモンの明るい香りが海風に吹かれる感覚を思わせ、港町ならではの感性を引き立てます。

塩味のあるスナックがお好みなら、「旗津赤尾青爆エビせん」は見逃せません。この海域で育ったアカオエビを生地に丁寧に練り込み、ひと口ごとにサクサクとした食感とともに、地元ならではの豊かな風味が広がります。一度味わうと忘れられないこの美味しさは、店内で最も人気のあるお土産となっています。

大港校直販所では様々な飲み物を提供し、船を待つ時間に爽やかで素敵な思い出を添えます。(画像提供/大港校直販所)

船旗技研|海事文化のシンボルを探る

旗津の文化的文脈において、日本由来の「大漁旗」は新船の進水式で重要な儀式です——祝いの言葉が書かれた旗が船体に掲げられると、船主は集落全体からの祝福を受け、航海の安全と豊漁を祈願します。

この複雑な染色工芸は、時代の変遷とともに次第に衰退してきました。そのため、大港校と中山大学のUSRプロジェクトが共同で設立したチーム「山津塢」は、文化の収集と復興に尽力し、日本への視察や台湾全土での適切な原材料の探索を通じて、船旗の技術を継承しています。

現在、「山津塢」による海事文化の研究と再解釈は、「大港校直販所」において、より現代の生活に寄り添う新たな形を見出しました。展示棚に並ぶ作品として結実するだけでなく、旅人が直接ふれ、感じることのできる文化体験として息づいています。店内では不定期に予約制の講座や体験ツアーを開催し、旅行者をガイドの足跡に誘い、旗の背後にあるストーリーを探索します。

セレクトアイテム、飲食、そして深い体験に至るまで――「大港校直販所」は、旗津の豊かな文化をこの海辺のショーウィンドウに凝縮し、旅人の方々に立ち止まって味わう時間を届けています。職人の手仕事に宿る温もりを感じ、海風に溶け込む新鮮な味わいを楽しみ、そして港町ならではの人情のぬくもりに触れてることができます。ここでのひとときが、旅人の航海を「満載の文化旅」へと導きます。

高雄港の景観。(画像提供/大港校直販所)

大港校直販所

大港セレクト|海島ドリンク|船旗研究|スペースレンタル|講座|ツアーコンサルタント

営業期間|2025.07~2025.08 限定オープン

営業時間|11:00~17:00(月曜日~金曜日)/12:00-18:00(土曜日、日曜日)

営業場所|高雄市旗津区海岸路10号(旗津棧貳庫待合室から入場)

Facebookページ|大港校直販所

Instagram|@bhbshop2025

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