2025.06.20
府城の小路、予期せぬ理想の生活との出会い:
「台南小轉角」が古家に日常の温もりを添える
「この古い建物の修復であれ、ここで行う活動であれ、私たちはいつも――“命よりも長く残ることをしたい”――そう願っています」日本統治時代の製粉工場、数十年にわたり香りを漂わせた路地の麺屋、そして今、街の多様な暮らしを受けとめるシェアスペースへと姿を変えた台南・小轉角ArtDeCorner。そのしなやかな転身を支えているのは、和光接物環境建築設計チームの、シンプルでありながら深い理念にほかなりません。
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2025.04.24
時代の栄光を今にとどめる百年の駅舎:
東京ステーションホテル見学報告
1914年の開業以来、東京の「丸の内駅舎」は地域の重要な交通の要所として機能し続けると同時に、大丸有地区再生プロジェクトの一拠点として、周辺の高層ビルと共に新旧が融合した街区の景観を形作ってきました。1915年に都市の変遷を見守る駅舎に組み込まれて誕生した「東京ステーションホテル」は、鉄道システムに付属する宿泊施設であるだけでなく、旅人が実際に歴史の中に入り込み、時代の雰囲気を体験できる独特な場所でもあります。
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2025.02.21
歴史の経緯に沿って文化遺産再生のネットワークを紡ぐ:
富岡製糸場見学報告
2025年初頭、雄本老屋チームは「富岡製糸場と絹産業遺産群」世界遺産登録10周年記念国際シンポジウムに参加するため日本を訪れ、富岡製糸場を実地見学し、この遺跡が古今を結ぶ文化の拠点に変貌を遂げた経緯について理解を深めました。今回の視察は、単にその再生ノウハウを学ぶためだけでなく、国際的な事例との対話を生み出す貴重な契機でもありました。私たちは、高雄港エリアにおける研究と再生の取り組みを通じて、富岡製糸場とのあいだに相互の刺激と学びを生み出し、文化遺産の持続的な発展という共通の未来像を、ともに描いていきたいと願っています。
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2024.11.20
史跡が教室に:文化資産教育の現地学習
文化資産をただ見るだけの場所ではなく、時代に合わせて今の日常に溶け込ませるにはどうしたらよいでしょうか。台湾の多くの人々にとって、かつての史跡というと、いわゆる「走馬看花式(表面的に見て回るだけ)」のガイドツアーという印象が強く、建築そのものは時間の中に固定され、都市の生活とは切り離された存在のように感じられてきました。このような状況に対し、榮芳杰(ロン・ファンジエ)氏は、古跡の多面的な魅力を引き出す「キュレーション思考(策展思維)」というアプローチを提案しました。さらに、教育プログラムの設計を通じてその理念を実践し、基礎教育の段階から古建築と人との距離を縮める試みを行っています。
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2024.11.01
司阜の日常:建築工芸と職人
「好市開講」文化資産推進シリーズ講座では、今回は中原大学建築学科の葉俊麟(イェ・ジュンリン)教授を招き、匠師・蘇清良(スー・チンリャン)氏が修復に携わった旧愛国婦人会館を会場に講演が行われました。建築の現場で自ら手を動かしながらも、これまであまり語られることのなかった「匠師」という存在に焦点を当て、土水司阜(どすいしふ)・蘇清良氏の生涯を振り返り、伝統技術が現代社会で直面する課題について語られました。また、名襄文化の李志上(リー・ジーシャン)主任修復士、および雄本老屋の蕭定雄シニアマネージャーとの対談も行われ、台湾における匠師の育成、就業環境、そして文化資産修復産業の現状について意見が交わされました。
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2024.10.30
保守x革新:今日の廃墟から明日の輝きへ
本年度、高雄市文化局の招待を受け、雄本老屋は一連の「好市開講」文化資産推進シリーズイベントの開催に協力しました。今回は浩建築士事務所の主任建築士・林光浩を逍遙園の大防空壕に招き、「保守x革新:今日の廃墟から明日の輝きへ」をテーマに、これまで貫いてきた信念と、2023年国家文化資産保存賞の受賞作品「高雄市歴史建築逍遙園」の修復経験を共有してもらいました。
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2024.10.04
複数選択可:文化資産の保存と地域共生
第1回「好市開講」文化資産推進シリーズ活動では、中原大学アーキテクト学科の林曉薇教授を捌邸楼老屋カフェに招き、「複数選択可:文化資産保存と地域共生」をテーマに、文化資産の保存・活性化を通じて地域の持続可能な運営を牽引する可能性について講義していただきました。林曉薇教授は台湾の文化的経路の統合・推進と調査研究に長年携わってきました。今回の講座では産業文化資産の価値を分析し、国内外の実際の活性化事例を共有しながら、現代都市と文化資産との繋がりを探求しました。
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