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都市住民と共に一冊の本を書く:西村幸夫教授の講座と都市農村サミットフォーラムの回顧

2025 / 11 / 04

長年にわたり日本各地の「町並み保存」に注目してきた西村幸夫教授は、台湾との縁も同様に深く、その著書『町並みまちづくり物語』と地方発展の概念は、1990年代に台湾の社区総体営造の波に深い影響を与えました。今回の講座では、産官学界の重要人物が集結しました。内政部国土管理署の徐燕興副署長、台中市政府の黄崇典秘書長、そして逢甲大学の黎淑婷副学長が対談に参加し、政策、実務、学術という異なる視点から台湾の現在の都市農村発展の課題について共に探求しました。

西村幸夫教授(左から3人目)の講座と都市農村サミットフォーラムには内政部国土管理署の徐燕興副署長(左から2人目)、台中市政府の黄崇典秘書長(左から4人目)、逢甲大学の黎淑婷副学長(左から6人目)が対談者として招かれ、逢甲大学建築研究設計センターの呂耀中主任(左から7人目)が司会を務めた。

土地から生まれる知恵

西村幸夫教授は講座で、飛騨古川駅前広場の1995年から現在までの景観の変化を共有した。これらの画像は『都市から学んだ10のこと:まちづくりの若き仲間たちへ』という本にも記録されている。

西村幸夫教授は理論に直接入るのではなく、彼が長期にわたって関わってきた二つの事例—「飛騨古川」と「東舞鶴」—を通して、聴衆と共に都市再生の現場を回顧しました。前者は1997年の公共テレビのドキュメンタリーで映し出された素朴な姿から、現在では河川を軸に、近隣の堤防や倉庫、さらには駅前広場周辺の建築のファサードに至るまで細やかに整備された景観へと変化しています。そこには大きく姿を変える大胆な変革ではなく、水滴が石を穿つように有機的に成長した様子が見られます。一方で、後者は多くの都市が共有する問い——歴史が浅いことを自認する新興都市が唯一無二の魂を見出すにはどうしたらよいかという問題に答えを示しています。独特の煉瓦造建築の調査・研究を通して、それらをコンサートホールや博物館として再生させることで、「若い」都市は人々のアイデンティティを育む歴史的な拠り所を見出すことができました。

40年の歳月をかけて丁寧に磨き上げられてきた飛騨古川であれ、土地本来の魅力から自らの魂を見出した東舞鶴であれ、両者が歩んできた道のりは必ずしも同じではありません。地元の人々が心から「ここで暮らせて本当に良かった」と感じるその初心こそが、すべての都市・農村づくり共通して求められる理想であり、最終目標なのです。

都市から学んだ10のこと

西村幸夫教授は、数十年の実践経験を「都市から学んだ10のこと」(『都市から学んだ10のこと: まちづくりの若き仲間たちへ』より)として体系化しました。そこには、巨視的な都市哲学から、住民が日常に向き合う細やかな姿勢に至るまでが網羅されています。興味深いことに、これらの心得を雄本チームの新著『老屋熟成』と照らし合わせると、両者は異なるスケールと文脈に焦点を当てていながらも、その核心にある価値観は共鳴し合っていることに気付かされます。

1つ目は、生活の本質への凝視です。「都市を理解するには、まず都市の生活を知らなければならない。都市の生活を知るには、まず想像力と共感力を養わなければならない」この尊重と共感こそが、書中の多くの古家が「熟成」していくための鍵であり、生活そのものは、建築の隅々にまで刻まれています。空間の質感の保存、日常の道具の収集と解釈を通じて、忘れ去られていたであろう過去の時間を現在まで継承することができるのです。

しかし、古家は過去を優しく受け継ぐ一方で、現代を生きる人々の生活への想像にも溶け込む必要があります。新しさと古さの間で繰り返し考えて実践するこのプロセスこそが、家主、修復者、運営者の共通の理想を育んでいくのです。そしてそれは、西村幸夫教授の観察を裏付けてもいます。「魅力的な都市には魅力的な人々が住んでいます。都市はそうした魅力的な人々がいるからこそ、魅力に満ちているのです」

2つ目は、時間への敬意と世代を超えた責任感です。「過去からの託しを未来の世代に伝えるために、私たち一人ひとりが責任を担っています」過去と未来をつなぐ壮大な理念は、人々が安心して暮らし、働くことができる、レジリエンスと活力を兼ね備えた持続可能な都市を実現するためのものです——そしてその理想を実現するためには、現代のニーズに応える柔軟な空間が各所に存在する必要があります。

『老屋熟成』が取り上げた修復戦略は、常に保存と更新の間のバランスを模索し、歴史の痕跡を大切にしながらも、現代のニーズに実際的に応え、適切な修復と活性化を通じて人々の生活に再び溶け込ませることを目指すものです。空間を新しいビジネスモデルを育む拠点や、コミュニティのアイデンティティの拠り所にならせることで、都市に絶え間ない小さな変化をもたらしていくのです。西村幸夫教授が言うように、都市再生は必ずしも劇的な出来事によって実現するものではなく、むしろ人々が「日常を大切に営む」中で実現されることが多いのです。住民が安心して暮らし、古い建築物がより柔軟な姿で優しく配置されるとき、コミュニティのレジリエンスも徐々に蓄積され、あらゆる未知の課題に備えることができるようになります。

西村幸夫教授の著書——『町並みまちづくり物語』と『都市から学んだ10のこと:まちづくりの若き仲間たちへ』。

講演の終わりに、私たちは敬意と感謝の気持ちを込めて、チームに深い啓発を与えた『町並みまちづくり物語』と『都市から学んだ10のこと:まちづくりの若き仲間たちへ』の2冊を持って西村幸夫教授にサインをお願いし、チームの地域実践の成果である『老屋熟成』を教授にプレゼントしました。西村幸夫教授の都市哲学は、台湾の都市と農村の発展に大局的な視点をもたらす指標を提供しています。雄本チームの地域での模索は、それらの普遍的な理念を具体的な実践へとつなげる取り組みです。「古家再生の未来のために善いと思う道を貫く」という信念を持ち、この土地のパートナーたちと共に、「都市」という名の本を読み解き、紡ぎ続けていきます。

雄本チームが大切にしている著書にサインをする西村幸夫教授(右端)。

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